訪問介護報酬引き下げが決定:その影響と課題

2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬引き下げが正式に発表され、業界全体で大きな議論を呼んでいます。訪問介護の現場に携わる多くの方々からは、この決定に疑問や不満の声が上がっており、訪問介護事業の未来や、従事者の負担の増加に懸念が高まっています。この記事では、報酬引き下げの背景、現場の声、そしてこれからの課題について考えていきます。

訪問介護報酬引き下げの背景と現状

報酬引き下げの背景にあるもの

今回の報酬引き下げについて、厚生労働省は「基本報酬以外の処遇改善加算などを含めた総合的な支援策がある」としており、基本報酬自体は低減されるものの、加算措置によって現場への影響を軽減する狙いがあると説明しています。しかし、訪問介護の基本報酬が減額されることで、事業所の経営が圧迫され、結果として訪問介護を必要とする多くの高齢者が支援を受けられなくなるのではないか、という懸念が広がっています。

現場で聞かれる苦言と不安の声

日本介護福祉士会の会長である及川ゆりこ氏も「日々の業務に見合った適正な評価がされていない」と苦言を呈しており、この引き下げは訪問介護職員の士気を低下させる恐れがあると指摘しています。また、訪問介護職員の多くが「自分たちの働きが軽んじられている」と感じており、日々の業務で重要な役割を果たしている職員の意欲を削ぐような決定だという声も少なくありません。

訪問介護の現場に広がる課題

訪問介護の利益構造と現実

訪問介護は国の統計上「高い利益率」とされがちですが、実際には多くの事業所がギリギリの経営を強いられています。訪問介護事業所は少人数で設立できるため新規参入も多い一方で、経営スキルを持たない経営者が多く、収益を安定して確保できていないのが現状です。そのため、利益率の高さが報酬引き下げの理由にはならないという指摘がされています。

また、サービス付き高齢者向け住宅内で提供される訪問介護と、一般的な在宅訪問介護とでは経営構造も異なり、前者は移動の手間やコストが少なく高利益率ですが、後者は移動コストなどの負担が大きく、経営の安定が難しいという課題があります。この両者を一括りにして「利益率が高い」と判断されるのは問題であり、現場の実態を反映していないとの声も多く聞かれます。

訪問介護職員の高齢化と人材不足

訪問介護の現場では職員の高齢化が進んでおり、現在働く職員の平均年齢も上昇しています。これに加え、若年層の人材確保が難しいという問題もあり、業界全体で人材不足が顕著です。人手が足りない中で報酬が引き下げられれば、さらに介護職員の確保が困難になる可能性が高く、訪問介護サービス全体が維持できなくなる危険性も指摘されています。

訪問介護事業所が抱える経営上のリスク

経営スキル不足による倒産リスク

訪問介護事業所の多くは、介護経験の豊富な元ケアスタッフが設立したものです。現場のことは熟知していても、経営のノウハウを持たないまま運営を開始するケースが多く、長期的に安定した経営を続けるのは難しいのが現状です。また、介護業界特有の規制により、経営の自由度が限られているため、飲食業のようにメニューや価格の調整ができず、利益確保が難しいのが現実です。こうした経営面での難しさも、今回の報酬引き下げによってさらに浮き彫りになっています。

経営力を持つ大手の安定と中小事業者の苦境

資本力が豊富な大手事業所であれば、他の介護サービス(デイサービスやショートステイなど)からの収益で赤字を補填することが可能ですが、中小規模の訪問介護事業所にはその余裕がありません。特に、訪問介護は利益率が低いため、基本報酬の引き下げは経営に大きな打撃を与え、中小の事業所では倒産リスクが高まると予測されています。

報酬引き下げを受けた訪問介護業界の今後

SNS活用による人材確保の可能性

最近では、SNSを積極的に活用することで人材確保に成功している介護事業所もあります。SNSは、若い世代へのリーチが広く、訪問介護の仕事や魅力を発信する場として効果的です。SNSを上手に運用し、日々の業務内容や職員の働きがいを伝えることで、求人広告に頼ることなく人材を確保できる可能性があります。しかし、SNS運用には時間と人手がかかり、事業所全体での協力が不可欠であるため、安定的に運用できるかが課題です。

中小事業所の生き残りをかけた戦略

中小の訪問介護事業所が今後生き残るためには、まずは経営スキルの向上が必須となります。利益確保に向けたコスト管理や、人材育成に対する工夫が必要です。また、業界団体などを通じて他の事業所との情報共有や連携を強化し、経営面でのサポートを受けることも有効です。地域に密着したサービスを提供することで利用者や地域からの支持を得ることも、厳しい経営環境を乗り越えるための一つの手段となるでしょう。

訪問介護業界の持続可能な成長に向けて

訪問介護は、今後さらに高齢化が進む中で、地域で生活する高齢者にとって欠かせない存在です。報酬の引き下げが訪問介護の提供に与える影響は少なくなく、現場で働く職員や事業所の支援体制を充実させるためにも、業界全体でのサポートが重要です。次回の介護報酬改定では、訪問介護の現場の実態を踏まえた政策が求められるでしょう。

緩やかに下がっている介護職の離職率

介護業界は、少子高齢化の進展に伴い、需要が拡大している分野です。しかし、その一方で、介護職の離職率の高さが問題視されてきました。多くの人が「介護の仕事は厳しい」というイメージを持っており、そのために離職者が多いという印象を抱いているかもしれません。しかし、近年、介護職の離職率は徐々に下がり始めており、業界全体での改善努力が功を奏しています。この記事では、介護職の離職率の実態を他の職種と比較し、その改善点について詳しく解説していきます。

介護職の離職率とは?

介護職は、他の業種と比較して離職率が高いとされています。公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によれば、2022年度の介護職の離職率は約14.3%となっています。これは10年以上前のピーク時に比べるとかなり低い数字です。たとえば、2007年度の離職率は約21.6%と、非常に高い状態でしたが、それから徐々に改善されてきています。

介護職の離職率が高い背景には、給与や労働環境、人間関係などが関係していますが、近年ではこれらの要因に対する対策が進められ、少しずつ働きやすい環境が整備されてきていることがわかります。

他業種との離職率比較

介護職の離職率が高いと言われますが、実際には他の業種とどの程度の違いがあるのでしょうか。厚生労働省の「雇用動向調査」によると、全業種の平均離職率は12%程度です。この数字と介護職の14.3%を比較すると、介護職の方が少し高いことがわかりますが、大きな差があるわけではありません。さらに、2000年代半ばには、介護職の離職率が全業種よりもはるかに高い状況が続いていたことを考えると、ここ10年での改善は顕著です。

また、他の業種でも特に離職率が高い業界としては、飲食業や宿泊業が挙げられます。これらの業界では、介護業界よりもさらに高い20%以上の離職率を記録することも少なくありません。つまり、介護業界だけが特に厳しい環境というわけではなく、多くの労働集約型の業界で共通する課題が存在しているのです。

離職率改善の要因とは?

介護職の離職率が少しずつ下がってきた背景には、さまざまな改善策が影響しています。これから、具体的な取り組みとその成果について見ていきましょう。

1. 給与や待遇の改善

介護職の離職理由として最も多いもののひとつに「給与の低さ」が挙げられます。介護職は長時間労働や夜勤が求められることが多いにもかかわらず、給与が他業種に比べて低いというイメージが根強くありました。

これに対して、政府や業界団体は処遇改善加算などの制度を設け、介護職員の給与を引き上げる施策を進めてきました。この加算制度により、特定の資格や経験を持つ介護職員には給与が加算されるようになり、特に資格保有者やベテラン職員の待遇が改善されました。また、勤務年数やスキルに応じた昇給システムが整備され、職場でのキャリア形成が可能になったことも離職率の低下に寄与しています。

2. 勤務体制の見直し

介護職は、不規則な勤務時間が避けられない職業でもあります。早朝から深夜まで、シフト制で働くため、生活リズムが崩れやすく、体力的・精神的な負担が大きくなりがちです。特に、夜勤がある施設では、この負担が離職の一因となることが多いです。

これに対して、最近では日勤のみの勤務が可能な職場や、シフトを柔軟に調整できる制度を導入する施設が増えてきました。また、長時間の連続勤務を避け、休息時間を確保するための取り組みも進んでいます。こうした労働環境の改善が、離職率低下に貢献しているのです。

3. 職場の人間関係改善

介護職員が離職する理由のひとつに「人間関係の悪化」が挙げられます。介護の現場では、利用者やその家族、他のスタッフとのコミュニケーションが非常に重要です。しかし、スタッフ同士の連携がうまくいかない場合、ストレスが蓄積され、結果として離職につながることがありました。

この問題を解決するため、施設内のコミュニケーションを活性化させるための研修や、チームワークを強化するプログラムが導入されています。また、スタッフ同士の信頼関係を築くために、定期的なミーティングやリフレッシュのためのイベントを行う施設も増えています。これにより、職場内の人間関係が改善され、働きやすい環境が整ってきています。

4. スキルアップとキャリア形成の支援

介護職は、キャリアアップの機会が少ないと感じていた人も多い職業です。これが、モチベーションの低下や離職につながることもありました。そこで、近年では、介護職員のスキルアップやキャリア形成を支援する制度が充実してきました。

たとえば、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得を支援するプログラムや、資格取得後の昇給制度が整備されています。また、介護職員としての経験を積んだ後、マネジメント職や教育担当としてキャリアを積む道も用意されています。これにより、自分の将来を見据えて働ける環境が整い、長期的な視点で仕事に取り組む職員が増えてきています。

介護職の離職率低下が示すもの

介護業界の離職率は、依然として他業種と比較するとやや高めですが、過去10年間で改善が進んでいることは確かです。給与や待遇の向上、勤務体制の柔軟化、職場内の人間関係の改善など、さまざまな取り組みが離職率の低下に貢献してきました。今後も、さらなる改善が進むことで、介護職がより魅力的で働きやすい職業となるでしょう。

これから介護職に就くことを検討している方や、現在の職場に不満を抱えている方は、業界全体の改善の動きを注視し、自分に合った職場を探すことが大切です。多くの選択肢が広がる中、より働きやすい環境での活躍が期待されています。

病院清掃受託責任者

病院清掃受託責任者はどんな資格?

医療機関の多くは、清掃業務を外部業者へ委託しています。
委託される清掃業者は、受託責任者を設置することが医療法施行規則第9条によって規定されており、病院清掃受託責任者の資格がある人は受託責任者として活躍できます。

病院清掃受託責任者は、清掃業務に関する高い専門知識が求められるだけでなく、医療機関が持つ社会的な役割や医療関係の法規、また衛生や環境についても高い知識が求められます。
また病院では患者さんのカルテなど数多くの個人情報を取り扱っているため、個人情報の保護に関しても専門的な知識や法律を理解しなければいけません。

病院清掃受託責任者はどのように資格を取得できる?

病院清掃受託責任者の資格を取得するためには、まず最初に講習会を受ける必要があります。
講習はネット環境を利用して自宅で受講することができますが、学科の公衆機関や集合講習機関などには期間が設けられているため、マイペースで学習しながらも期間内に講習を全て終わらせる必要があります。

全てのカリキュラムを修了すると、最後に審査が行われます。
審査に通ると修了証交付してもらうことができ、これは4年間有効です。
この資格は自動的に資格を更新できるわけではないため、有効期限が切れる際には再びカリキュラムを受講し、もう一度講習を受けた上で資格の再取得が必要です。

病院清掃受託責任者の資格を取るメリット

病院清掃受託責任者の資格を取得することで得られる1つ目のメリットは、病院の清掃業務に従事できるという点です。
衛生環境や安全環境に厳しい医療機関での清掃業務は、大きなやりがいや充実感を得られるのではないでしょうか。
また病院は冷暖房が完備されているため、快適な環境で働けるという魅力もあります。

2つ目のメリットは、カリキュラムの多くを在宅で受講できるという点です。
育児や介護などで外出することが難しい人でも、病院清掃受託責任者ならパソコンがあれば自宅で受講できますし、基本的には録画されているコンテンツをマイペースで学ぶので、ライフスタイルに合わせて学びやすいという点が魅力です。
ただし、集合講習に関しては指定された会場で対面の講習を受けるので日程の調整が必要になります。

3つ目のメリットは、年齢や学歴に関係なく、誰でも資格を取得できるという点です。
資格の多くは合格率が低い試験を受験しなければいけませんから、試験が苦手という人にとっては精神的なストレスを感じるでしょう。
しかし病院清掃受託責任者の資格は、集合講習の後には考査があるものの、受講内容を理解していれば問題なくパスできます。
試験が苦手な人にとっても、取得しやすい資格ではないでしょうか。

貯水槽管理技術者

貯水槽管理技術者はこんな資格

貯水槽管理技術者とは、もともとは貯水槽水道衛生管理士という資格名だった、民間の資格です。
公益社団法人の全国建築物飲料水管理協会が水道法に基づいて管理運営している資格で、都道府県ごとに設定されている制定に基づいて適切に水質管理がされているかどうかをチェックすることが主な役割です。

貯水槽管理技術者は、貯湯槽と貯水槽水道からの給水設備、給湯設備の状態を維持管理したり、水道水からの感染症の予防対策に努める職務に従事します。
また地震など自然災害が起こった場合には、行政と連携して水道関連の対処を行うことも大切な職務となっています。
この資格を持つ人材は、水道水や関連設備に関するスペシャリストです。
国民の健康と安全に大きな影響を持っており、職務の遂行に際しては保健所をはじめとする行政や医療機関と連携・情報交換しながら、水道水の安全と衛生を確保します。

貯水槽管理技術者の資格を取得する方法

貯水槽管理技術者は民間の資格で、取得するためには公益社団法人の全国建築物飲料水管理協会が開催する講習会を受講しなければいけません。
講習会は誰でも受講できるわけではなく、例えば受講時に満18歳以上である年齢制限が設けられている他、建築物の環境衛生分野で2年以上の実務経験を持っている人、または建築物を所有しているオーナーもしくは管理者などの要件も設けられています。

講習会はオンラインでは受講できないため、対面講習に参加する必要があります。
東京をはじめ、大阪や愛知県など全国5カ所で年に1回ずつ開催されているので、足を運びやすいロケーションを選んだうえで受講の申し込みをすることになります。
講習会は2日間にわたって行われ、講習会を全て受講した上で最後に行われる修了テストを受験し、それに合格すると有効期間5年間の貯水槽管理技術者資格の認定書を交付してもらえます。

貯水槽管理技術者の資格を取るメリットは多い

貯水槽管理技術者の資格を取得する1つ目のメリットは、地域の人々の生活の改善や健康、QOLの向上という点で大きく貢献できるという点です。
働きながらやりがいや充実感を感じることができるでしょう。

2つ目のメリットは、就職や転職がしやすいという点です。
環境問題に携わる資格は今後ニーズが高まると考えられており、貯水槽管理技術者も例外ではありません。
特に公共機関やハウスメーカー、建設業界などには高いニーズがあります。

3つ目のメリットは何歳からでもキャリアを構築できるという点で、資格取得のための年齢に上限は設けられていません。
それに水道関連の仕事に従事していなくても、建築物を所有しているオーナーなら受講して資格を認定してもらえます。
取得しやすい資格で高いニーズがあることで、キャリア構築の面でも大きなメリットが期待できます。

ハウスクリーニングアドバイザー

ハウスクリーニングアドバイザーはどんな資格?

ハウスクリーニングアドバイザーとは、家庭のお掃除について専門的な知識やノウハウを持ち、的確なアドバイスや判断ができるスペシャリストの資格です。
お掃除に役立つ様々な道具を的確に使えるだけでなく、汚れの種類や状態に応じてケースバイケースでお掃除方法を分析することが求められます。

物があふれている現代社会では、家の中が片付けられないことで悩んでいたり、お掃除をしても取れない汚れをどうすれば良いか分からないという人が数多くいます。
ハウスクリーニングアドバイザーは、そんな人に家の中の整理整頓の面から、頑固な汚れをスッキリと洗い落とすまで、片付けやお掃除の面でアドバイスを行います。
その際には、家庭にある収納ボックスや収納ケースを活用して分かりやすく整理整頓するアイデアを伝授したり、ライフスタイルに合わせてその家で暮らす住人にピッタリなお掃除方法を見つけるなど、状況や環境に応じてフレキシブルな対応ができるスキルも必要です。

ハウスクリーニングアドバイザーの資格取得方法

ハウスクリーニングアドバイザーは、民間の資格です。
筆記試験に合格すると認定され、受験は2月や4月と言った偶数月に開催されており、年に6回実施されています。
在宅での受験が可能で、全国どこに住んでいる人でも受験しやすいシステムとなっている点が大きな特徴です。
この資格は、試験を受けるために必要な条件は特に設けられていません。
性別や年齢、学歴や職歴など関係なく、誰でも興味がある人なら受験できます。

資格試験の内容は、お掃除のノウハウからツールまで、幅広い分野から一般家庭の掃除知識が問われます。
独学でも試験の準備はできますが、テキストブックなどを使いながら準備したほうがより効率的かつ効果的な学習ができるでしょう。
試験は70%以上の正答率で合格となり、難易度はそれほど難しくはないので、しっかり準備した上で受験すればかなり高い確率で一発合格を目指せます。

ハウスクリーニングアドバイザーをとるメリット

ハウスクリーニングアドバイザーの資格を取るメリットは、たくさんあります。
1つ目のメリットは、お掃除のプロとして活躍できるという点です。
リフォーム会社やクリーニング会社などでは、こうしたお掃除のノウハウについて高い専門知識を持っている人材は重宝されるため、就職や転職にとって大きなメリットが期待できるでしょう。

2つ目のメリットは、年齢に関係なく資格を取得して働けるという点です。
専業主婦から一念発起してハウスクリーニングアドバイザーの資格を取得する人は多いですし、定年後のキャリアとしてこの資格を取得する人もいます。
近年では動画サイトなどで活躍するハウスクリーニングアドバイザーも多く、より効率的で誰もが簡単に挑戦できるお掃除方法を紹介することで知名度や人気もアップしそうです。

浄化槽管理士

浄化槽管理士とは?

浄化槽管理士とは国家資格の一つで、この資格を持っている人材は浄化槽の保守点検をすることができます。
浄化槽とは家庭や法人ビルなどに設置されているタンクで、キッチンやトイレ、浴室から排出される汚水を貯める役割があります。
微生物を使って排水をある程度浄化した上で、側溝に排水するまでが浄化槽が持つ役割となっています。

浄化槽は、一般家庭はもちろんのこと、法人のビルなどにも設置されています。
そのため浄化槽管理士の資格を持つ人は、全国どこでも高いニーズがあるのです。
この資格を持つ人は主に水質汚染の予防や点検を目的として活動しており、浄化槽の設置工事を行う建築会社をはじめ保守点検を行う会社などに高いニーズがあります。

浄化槽管理士の資格取得方法

浄化槽管理士の資格は国家資格ですが、資格を取得する方法は2つあります。
1つ目は国家試験を受験するという方法で、年に1回開催される国家試験を受験して合格すれば取得できます。
試験内容は浄化槽に関する7科目で構成されており、独学でも十分に試験準備はできるものの、一夜漬けで合格できるほどは易しくありませんからきちんと試験対策が必要です。
合格率が例年20%程度の試験は、全国で東京や大阪などの大都市5カ所でしか受験ができません。

2つ目の方法は、講習を受けるというものです。
日本環境整備教育センターが主催する講習を受け、最後に修了試験に合格すると、国家試験を受けなくても資格を取得できます。
講習費用は15万円程度と高額ですし、講習機関も長いですが、講習をしっかり受けていれば高い確率で修了試験には合格するでしょう。

浄化槽管理士の資格を取るメリットとは?

浄化槽管理士の資格を取得する1つ目のメリットは、この資格が国家資格という点です。
一定レベル以上の知識がなければ取得できないため、この資格があると浄化槽の管理におけるスペシャリストであることを証明できます。
浄化槽は浄化槽法という法律によって定期的な点検が義務付けられていますが、この定期点検を行えるのは浄化槽管理士のみと規定されているのです。
そのため、今後も浄化槽管理士には高いニーズがあります。

2つ目のメリットは、資格取得に関する学歴などの条件はないという点があります。
年齢や性別、そして国籍にも条件はありませんので、これからキャリアを積みたい人にとって、取得すると就職先を見つけやすい資格の一つと言えるでしょう。
この資格を取得する人の中には、定年後の第二のキャリアを作るために浄化槽管理士の資格を取るという人もいます。

3つ目のメリットは、高いニーズがあるので就職先を見つけやすいという点です。
全国どこにでも浄化槽はあり、点検作業は浄化槽管理士しか行えないため、全国どこに住んでいても就職先や転職先は見つけやすいでしょう。

土木でキャリアアップを目指す

まずは日々の業務でスキルを磨こう

建設業界には様々な分野がありますが、その中でも土木は未経験者でも採用されやすい分野の一つです。
未経験者の多くは現場で難易度のそれほど高くない基本的な作業から始めることになりますが、どのような基本的な作業でも、この業界でキャリアアップするためには必要不可欠な作業です。
日々の業務をこなしながらスキルアップをすることが、土木でのキャリアアップを目指したい人にとっては最初のステップと言えるでしょう。

土木に限らず、建設業界で知っておくべきスキルは一朝一夕で身につくわけではありません。
日々の積み重ねによって学ばなければいけませんし、さまざまな現場やプロジェクトを経験することにより、より難易度の高い業務に取り組めるスキルや経験値を身に着けることにつながります。
建設業界における作業でも、近年ではどんどん機械化やオートメーション化が進んでおり、効率化が図られています。
土木の分野でも例外ではありませんが、この分野においては機械化できない手作業が求められる部分がとても多く、今後も人の手作業に高いニーズが期待できます。

重機のオペレーターになるのもアリ

基本的な作業を経験して一定レベルのスキルを身につけたら、重機オペレーターになるというキャリアアップの方法があります。
土木現場においては、玉掛やクレーン作業など、重機の取り扱いが求められる現場が数多くあります。
こうした重機の取り扱いには専門的な免許や技能講習が必要となるものも多く、誰でも取り扱えるわけではありません。

重機のオペレーターとして資格を取得すれば、現場でオペレーターとして働くことができ、キャリアアップにもつながるでしょう。
重機はそれぞれ取り扱い方法が異なり、複数の資格や免許を取得することも可能です。

マネジメントを学んで管理者へ

土木現場では、現場を管理する現場監督がいます。
さらには、プロジェクトの設計やスケジュール、コストや人材管理などを幅広く全般的に管理する管理者もいます。
こうした管理職として働くためには、プロジェクトの全体的な流れを理解するだけでなく、一つ一つの作業の労力やかかる施工時間などにも精通していなければいけません。
多くの管理者は、それまで現場での作業に携わってきた人材です。
そう考えると、マネジメントを学ぶことで将来的には管理者としてステップアップできる可能性が期待できるでしょう。

マネジメントを学ぶためには、現場での経験やスキルが必要なだけでなく、施工管理技士や技術士と言った工事に関連した資格の取得がおすすめです。
中には、国家資格もあります。
資格を取得したら、その資格を生かせるような業務に携わったり、技術的な指導を行う職務を遂行できるようになります。
スキルアップにもつながりますし、現場でも高いレベルの人材という点で重宝されます。

多様な人材が活躍する建設業界へ

すでに女性の奪い合いが始まった!元請けの責任者が女性になる日も近い?

建設業界では現在、日本政府が掲げる「女性管理職が全体の30%を占める企業」を目指して取り組んでいます。
政府がこの目標を定めた2003年には、建設業界における女性管理職の割合は全体の9%程度しかありませんでした。
その後、取り組みを行ったものの、2012年の段階でも11%にしかなっていません。

その背景には、女性よりも圧倒的に男性が多い業界の特性がある他、少子化や人手不足など様々な問題が関係しています。
管理職の30%を女性にするためには、候補となる社員がそれ以上在籍していなければいけないわけで、企業としては新卒の段階から理系の女性に注目し、現在は新卒理系女子の奪い合いが行われている状態です。
今後この政府の取り組みに合わせて、建設業界では女性の管理者が増えると期待されています。
現在は大半が男性という元請けのプロジェクト責任者や管理者も、近い将来には女性が務めることになることでしょう。

元請けの責任者に女性を登用しようという案は、10年後を見据えた長期計画となっています。
プロジェクトの責任者には、業界のノウハウに精通している必要があると同時に、プロジェクトや人材を幅広く管理するスキルももちろん求められます。
そのための人材育成には約10年ぐらいかかるというのが、建設業界の見立てです。

女性や外国人など人材の多様化は企業の業績アップにも貢献

建設業界は、業界の特性的に、どうしても体力が必要な職種が多いものです。
また重機の運転ができることが必須のスキルとなっている職種もあり、これまでも女性より男性に適した業界だと考えられてきました。
しかし今後は、女性の管理職登用に加えて、企業の多様化に向けて女性や外国人などの人材も数多く雇用することが広く求められており、それは建設業界も例外ではありません。
この業界で多様性を進めるための対策法としては、非力な人でも務まる職種、また言葉の壁が不要な職種などを中心に多様性を勧めるのが賢明と言えるでしょう。

例えば建設現場には、建機のオペレーターというお仕事があります。
機械を操作するオペレーターは、体力面ではそれほどの力仕事となるわけではなく、力の弱い人でも十分に務まると考えられています。
すでに業界の中でも鉄筋業界団体は、女性の活躍を推進するプロジェクトとして女性の建機オペレーター育成に励んでいます。

業界の多様性を進めることは、それぞれの個性や価値観、性格などをプロジェクトに活かすことができるというメリットが期待できます。
細かい所に目が届く人もいれば、これまでのキャリアや背景などからどんな点に注意すれば良いかを理解している人がいるわけです。
多方向からプロジェクトに取り組むことによって、最終的な工期完成という目標にとっては、品質の向上につながったり人材のモチベーションアップにつながるなど、企業の業績アップにもプラスの影響が期待できます。

施工管理技士として海外勤務のキャリアチャンスを掴む

施工管理技士の海外派遣は多い

海外で働きたいけれどどんな仕事があるのか分からない、という人は少なくありません。
海外勤務のチャンスを持つ業界は数多くありますが、建設業界もそんな業界の一つです。
というのも、海外においてはアジアやアフリカを中心とした新興国で、インフラ整備のニーズが高まっています。
こうしたインフラの構築で活躍できるのは、建設業界です。
その中でもプロジェクトの管理を行う施工管理技士には、海外派遣のチャンスが期待できます。

また、インフラシステムを海外へ向けて輸入するプロジェクトも、政府主導で進められています。
これはグローバル経済における競争力を高めるための官民提携を推進するもので、建設業界においても現地で人材を発掘して育成するなどの役割を担っています。
施工管理技士は、こうした人材育成の面でも活躍できる職種なのです。

海外勤務するメリットとは?

施工管理技士が海外勤務することには、たくさんのメリットが期待できます。
まず1つ目のメリットは、語学力のアップです。
海外派遣の前にもある程度の語学力は必要不可欠なスキルですが、実際に現地で生活をすると、より生きた現地の語学力が身につきます。
海外勤務の期間が長ければ長いほど、高い語学力を修得できるでしょう。

2つ目のメリットは、帰国後のキャリアに活かせるという点です。
海外勤務をすると、語学力に加えて現地での文化にも精通することができます。
日本へ帰国した後には、グローバルな人材として活躍できるキャリア設計が十分に可能ではないでしょうか。

3つ目のメリットは、海外で生活できるという点です。
海外旅行のように短期間ではなく、現地で合法的に働きながら生活ができるため、海外で生活してみたいと希望する人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

海外で働くために知っておきたいポイント

施工管理技士が海外で働く際には、いくつかのポイントを知っておきたいものです。
まず1つ目は、就職したり転職するなら、海外勤務のチャンスがある企業を選ぶという点です。
建設業界の全企業が、社員を海外派遣するわけではありません。
やはり規模の大きな大手ゼネコンをはじめ、海外展開を行っている企業を選ぶ方が海外勤務のチャンスは高くなるでしょう。
すでに海外へ展開しているスーパーゼネコンをはじめ、海外事業を展開している企業、これから展開しようと計画している企業などもチャンスは期待できます。

2つ目のポイントは、キャリアプランを構築するという点です。
ただ海外生活を楽しむために海外派遣されたのでは、帰国後の転職や就職が難航するかもしれません。
海外で働く際には、必ず帰国後のキャリアプランを視野に入れたうえで、できるだけ実現に向けてプラスとなるような業務に取り組みたいものです。

建設マネジメントの重要性

建築業界における「建築マネジメント」とは

建設マネジメントとは建築業界における管理業務全般を意味しており、具体的には施工のスケジュール管理やコスト管理をはじめ、情報や品質管理、安全面における管理なども含まれます。
それだけでなく、職人をはじめとする建築業界に関わる人の人員管理についても建設マネジメントに含まれます。
建築施工の際には、マネジメントを担当する者が案件を企画する段階からプロジェクトに携わり、一つ一つの工程ごとに管理を行っていきます。
施工後の引き渡しまで建設マネジメントの担当者が責任を持って担当することによって、クライアントからの信頼を得ると同時に、自社の利益を確保できるというメリットが期待できます。

現在の建築業界では、職人の高齢化をはじめ若い人材が不足していたり、労働環境が過酷等、様々な問題を抱えています。
建設マネジメントによってこうした問題を解決に導くことも可能で、スケジュールの段階から無理のない工期設定をすることによって長時間労働を避けることができたり、スタッフの休日を確保することにもつながります。

建設マネジメントによって、解決できる問題は他にもたくさんあります。
効率的かつ効果的なスケジュール雪渓やコスト管理によって、プロジェクトの生産性を高めることができます。
例えばICTを活用することによって見積もりや測量の際に必要な書類の作成が時短できますし、マルチデバイス対応したクラウド業務管理システムを導入することによって、担当者や関係者がいつでもどこからでもシステムにアクセスできる環境も整備できるでしょう。

建築マネジメントで求められるスキルとは?

建設マネジメントを行うには、建築業界における幅広いノウハウと経験が必要となります。
そのため、まったく未経験の人が簡単に行えるマネジメントというわけではないのです。
しかし、いくら建築業界に精通していても、ただ管理するだけでは十分ではありません。
建設マネジメントには、若い人材の育成や建築業界を広くアピールすることなども目的として含まれているからです。

建設マネジメントに求められるスキルの1つに、人間観察力が挙げられます。
プロジェクトにかかわる一人一人をよく観察することによってそれぞれの状況を把握するとともに、問題を解決したりスタッフが働きやすい環境づくりを整備できるでしょう。
コミュニケーション能力も重要なスキルで、施工に携わる職人やクライアントと日常的にコミュニケーションをとることによってマネジメント担当者はより現場簿状況を把握しやすくなりますし、問題解決に取り組みやすくなります。

プロジェクトに情熱を持ち、熱意をもって業務に取り組むことも、建設マネジメントで必要不可欠なスキルの一つと言えます。
例えばスタッフに指示を出す際にも、自分はデスクから全く動かずに指示を出すだけでは人はついてきませんし、モチベーションのアップにもつながりません。
しかし、情熱をもって現場で分かりやすく指示すれば、スタッフのやる気アップが作業スピードにもプラスの影響を与えることでしょう。