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IT業界の問題点

多重請負構造が大きな問題

IT業界の大きな問題として、「多重請負構造」ということが挙げられます。
多重請負構造とは、「下請けから下請けに、さらに仕事が発注されること」を指します。

通常請負とは、仕事を発注する企業があり、請負業者がその仕事を行うのが一般的です。
しかし多重請負構造の場合、仕事を引き受けた下請け業者がさらに別の下請け業者に仕事を発注する仕組みになっています。
この構造が連鎖的に繋がることがあり、これが多重請負構造の原因となっています。

仕事を発注する企業のメリットは、「自社で業務を行わなくて済む」ということです。
下請け業者は引き受けた仕事を自社で行うことで利益を得ることができますが、さらに別の下請け業者に業務を依頼することで、利益は少なくなるものの社内で業務を行わなくて良いことになります。

通常、下請けとして発注される業務の多くは、あまり将来の成長に貢献しないような、単純作業的な仕事が多いです。
そのため多くの企業が引き受けたがらない作業が多く、どこに仕事を行ってもらうかが大きな問題となっています。
多重請負構造が蔓延していることで、IT業界は「新しい3Kの仕事」と言われています。
つまり、「きつい・給料が安い・帰れない」という状況に陥っており、IT業界の大きな問題となっているのです。

最近のIT業界は役職が上がっても、高給を期待できない

IT業界は以前まで、役職が上がると高い年収を期待することができました。
中には20代で年収1,000万円を超える人もおり、IT業界も稼げる仕事として注目を浴びるようになりました。

しかし現在は社内で昇進しても、あまり高い給料を得られなくなっています。
ITエンジニアは他の業種より、スキルが特に重視される仕事です。
つまり成果を残せなければ「仕事をしていない」と見なされてしまうため、役職はあまり関係ないのです。

IT業界で今後も高収入を得るには、自分のスキルを高めるしかありません。
しかし変化の激しい今の時代、継続してスキルを伸ばし続けることは非常に難しいと言えます。
業界内で生き残っていくためには、それなりの努力が必要でしょう。

IT業界に転職する場合、覚悟が必要

これからIT業界に転職しようと思っている場合、厳しい競争の中で生き残っていく覚悟を持つことが大切です。
誰でも高収入を得られる時代は終わり、IT業界もいかに他のエンジニアと差をつけるかが重要になっています。

「正社員になれば安泰」という考えは捨て、常に自分自身を高めていく意識を持ちましょう。
そうすればこれからも、IT業界で生き残れる人材になることができるはずです。

こう聞くと「ITはやめておくほうが良いのではないか」と思うかもしれませんが、他の業界でも似たような面は必ず生じます。
自分が努力することが、今後はさらに必要とされるでしょう。

システムエンジニアって新3K?

プログラミング

システムを設計して管理するシステムエンジニア

会社の業務システムを運用するためにも、何らかの店舗の売り上げを効率化させるためにも、個々のニーズに合わせたシステムというのは欠かせません。
そのため、ある程度大きな経営規模を持つ企業は、自前のシステムを構築して、それを使って業務をいっています。
そのシステムを設計し作り上げていくのが、システムエンジニアの仕事となります。

要件定義

クライアントとヒアリングを行い、どのようなシステムを望んでいるのか要望を明確にします。
時間やお金などすべての要望に応えることは難しい場合も多々あります。
システムの開発に必要な期間や費用を算出し顧客の要求を実現できるのか決定します。

基本設計

クライアントの要望を実現するシステムの設計を行います。要件定義のデータをもとに、どのような仕様にするのかを決定します。

詳細設計

基本設計で決めた機能に対し、どのような技術や仕組みで実現するのかを考える業務です。プログラマーがプログラミングするために必要な設計を行います。

テスト

プログラムが完了したら、システムが仕様通りに動くのかテストする工程もシステムエンジニアが担当します。

システムエンジニアの厳しさ

システムエンジニアは、管理的な働きをしますので、いわゆるIT土方のような単調な仕事を延々とするということはありません。
しかし、クライアントとの交渉やチームのプログラマーをまとめるなど、多くの人とのかかわりがあり、上手にまとめていかないといけないので、ストレスが多い仕事でもあります。
また、多くの場合納期が厳しく設定されていますので、いかに納期に間に合わせるように終わらせるかを考え、仕事をすすめていくかというのも苦労する理由となります。

万が一テストの際に不具合が出た、完成したシステムをクライアントが気に入ってくれない時などは、システムエンジニアに責任がかかりますので、緊張感を強いられる仕事でもあります。
責任が多くやりがいが多い分、求められることも多い仕事だと言えるでしょう。

システムエンジニアの就業人口

システムエンジニアの人口は約90万人です。
人材不足と言われており、2030年には約59万人程度の就業人口不足が見込まれています。
就業人口が不足している要因は、日本の人口減少だけではなく、IT産業の成長や多様化によるニーズの高まりから需要が高まっているためです。

システムエンジニアの給与について

厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査によると、システムエンジニアの平均年収は550.8万円となっています。
全職種の平均年収が454.5万円と比較して高めの年収であることがわかります。
続いて、年齢別の平均年収ですが、20代後半が441.1万円、30代後半で539.7万円、40代になると600万円を超えます。
年収が高い理由としてIT業界の人材不足です。
現在、ITは多くの業種で活用されていますが、人材がその普及に追いついていないため高い給与を払ってでも人材を確保したいと考える企業が多いと考えられます。
システムエンジニアは高いスキルが必要です。そのため簡単に参入できる分野ではありません。

システムエンジニアはつらい?

システムエンジニアのイメージに長時間労働というイメージが持たれています。
長時間労働の原因は納期の厳しさによるものです。開発の現場はスケジュール通りに進むとは限りません。システムエンジニアは納期へのプレッシャーがつらい職業といえます。
給与も安いイメージを持たれますが、上にもある通りシステムエンジニアの年収は安くありません。
多重の下請け構造となっているため、下請けになるほど中間マージンが抜かれ、給与も少なくなります。
そのためスキルを身につけたらよりよい環境への転職をおすすめします。

システムエンジニアの魅力とは?

こうした厳しさもありますが、やはり自分のセンスと高い技術を用いて、思い通りのシステムを作り上げられるというのは非常にやりがいのあることです。
レベルの高いシステムを作ることができた時は、大きな達成感を味わえます。

システムの構築と一口に言っても、規模やその複雑さなどでかなり違いがありますので、システムエンジニアとしてスキルアップを行い、より大きくて難しいプロジェクトに携われるように頑張っていくというのも、システムエンジニアならではの楽しみでしょう。
スキルを高めることでキャリアアップがしやすい職種ですので、将来性があるというのも魅力的な点と言えます。

IT土方って?失敗しない転職方法

ひたすら打ち込み作業をするIT土方のつらさ

IT関連の仕事と言うとクリエイティブな感じがするかもしれませんが、現場にはいろいろなタイプの仕事があり、IT土方と称される仕事もあります。
建設業でいう土方は体力的にきつい仕事を黙々と続けていくことが多いですが、IT土方も同じように、同じような業務を淡々とし続けるという特徴があります。

具体的にはプログラミングの仕事が多く、それぞれに割り当てられたプログラミング言語の打ち込みをひたすら行っていくというものです。
自分でプログラムを考えてするのではなく、プログラマーが作った内容を打ち込んでいくだけで、データ入力の仕事とほとんど変わらない感覚で仕事をすることになります。
特に頭を使わなくても良いという面もありますが、飽きやすいですし目や肩が長時間のパソコン作業のせいで疲れてしまうというデメリットもあります。

納期が迫っていると相当のストレスとなるIT土方

こうしたプログラミングの仕事では、特に納期が迫っている時の業務は相当きついものがあります。
何も考えずにひたすら打ち込んでいく作業を延々と続け、徹夜続きということも珍しくありません。
プログラミングを請け負う企業は、納期に追われて仕事をしているケースが多いので、どうしてもIT土方と呼ばれる仕事がメインとなっていると、その負の環境から抜け出せないこともあります。

プログラミングの実務経験を積んで自分でシステムの設計やプログラムをしたいと思っても、あまりのオーバーワークのために、勉強することもスキルアップすることもできず、その状態を続けざるを得なくなってしまうのです。
せっかくIT関連の仕事をしているのに、肝心のスキルを身に着けられないことがあるというのが、この業界の課題と言えるでしょう。
単価が安く競争が激しいということが、納期に負われる受注体制になってしまい、IT土方を生み出してしまうと考えられます。

業務内容をしっかりと把握した上で転職先を決める

こうしたIT土方の状態から脱却するためには、自分のスキルを伸ばすことができて、やりがいを感じられる仕事を得られる会社に転職するのが一番です。
そのためには、焦って転職先を決めるのではなく、じっくりといろいろな会社の情報を集めることが肝心です。
給料などの表面的な待遇だけに目を留めることなく、どんな仕事を請け負っていて、どんな業務をメインとしているかを把握するようにしましょう。

また、できるだけ実際のオフィスを見せてもらって、どんな環境で働いているかを見ることも大事です。
使われているマシンやスタッフの数、オフィスの規模などを見ることによって、どんな会社かを理解できるようになります。