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終末期医療とエンド・オブ・ライフケアについて

終末期医療の考え方が変わってきている

医療の仕事に携わる人にとって、悲しくも避けて通れないのが患者さんの死という現実です。
どんなに医療が進歩しようとも、患者さんの寿命をある程度伸ばすことができるとしても死を避けることはできません。
特に日本では、高齢者の数が急速に増えていますので、看護師としても死に面することが増えてくることになります。

終末期医療については様々な考えがありますが、最近ではエンド・オブ・ライフケアという考えが次第に浸透してきています。
これは、死に向かう患者さんの心の整理をして、最後の期間の生活の質を高めるということに重点が置かれています。
従来のターミナルケアとは多少異なる概念も含まれていますので、看護師としてもこのエンド・オブ・ライフケアという考えをしっかりと意識する必要があります。

最後の時間を幸せに過ごせるようにサポートする

医療スタッフの一員であれば、どうしても終末期医療に注目せざるを得ません。
今までのターミナルケアでも、患者さんの痛みを取り除き最後の時間を有意義に過ごせるという考えが主軸となっていますが、それよりさらに患者さんの生活の質の向上という面に注目して、様々な観点から幸福な時間を過ごせるようにサポートするという姿勢を取ります。

医学的な技術を駆使して、できるだけ痛みを減らして病気による苦しみを取り除くことと共に、通常の生活を楽しんで過ごせるようにすることや、友人や家族との時間を大事に過ごせるように助けることがエンド・オブ・ライフケアでは重要な要素となってきます。
また、医療的ケアの手法について患者さん本人が選択できるようにして、本人の意思を尊重するというのも大事な考えとなっています。

本人の自己決定権を尊重することが重要

エンド・オブ・ライフケアでは、本人の自己決定権というのがとても重要になってきます。
そうすることで、最後の時間を自分の納得できるような仕方で過ごすことができるようになってきますし、死にしっかりと向き合うという姿勢を持つことができるからです。
特に、意識がなくなり本人が判断能力を失ってしまった時に、心肺蘇生を続けるかどうかなどの微妙な問題においても、しっかりと本人の意思を聞き取り、それを活かせるようにすることも大事なポイントです。

看護師にとっては考えさせられることも多い分野ですが、患者さんとそのご家族の幸せに貢献する大事なことですので、この分野に関する知識と判断力を培っておくのは大事なことです。
高齢化が進むにつれて、病院だけでなく、自宅で在宅医療を受けながら終末期医療をするというケースも増えてきていますので、訪問看護に携わる看護師は特にこの点に精通している必要があります。