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外国人介護士の現状とは

外国人介護士の現状とは?

介護業界は、人材不足が深刻な問題となっています。
社会全体の少子高齢化が進む中、日本国内で十分な数の介護スタッフを確保することは決して簡単なことではありません。

日本国内で確保できないなら、海外から介護スタッフ要員を迎えたら良いのでは?という期待によってスターとしたのが、外国人介護士です。
現在では、フィリピンやベトナム、インドネシアなど日本がFTA協定を結んでいる東南アジア諸国を中心に、外国人介護士候補を受け入れています。

しかし、ただ人数を確保すればよいというわけではありません。
外国人介護士と日本人との間にはたくさんの壁があり、なかなか目標通りに介護士候補を確保できていないという現状もあります。

どんな問題点がある?

外国人介護士に関する1つ目の問題点は、やはり言葉の壁です。
きめ細かなサービスが求められる介護においては、言葉の壁によってサービスの質が低下することが懸念されており、外国人介護士の確保に消極的な施設が少なくありません。

また、日本人からの反発もあります。
これは実際に経験した人のいるトラブルに基づいたケースで、文化的および歴史的な偏見によって、外国人介護士からサービスを受けたくないと反発する日本人はたくさんいます。

外国人介護士が対応する介護サービスの中には、家事援助などのサービスも含まれています。
文化や慣習が母国と大きく異なる日本において、家事援助をできるのかという不安はサービスを利用する家族側にもありますし、サービスを提供する外国人介護士側にもあります。
ただし、東南アジア諸国の中には、フィリピンのようにお年寄りを大切にする文化もあり、そうした国からやってくる外国人介護士は日本人よりもよく気が付くと高評価を得ています。

定着していくのか

外国人介護士を諸外国から受け入れた場合、介護士としてサービスを提供するための知識やスキルを身に着けた上で外国人介護士として認められます。
しかし、大変な経験をして外国人介護士になれても、さまざまな理由で母国へ帰国してしまうケースは少なくありません。
外国人介護士の受け入れを行っていなかった時期と比較すれば状況はやや改善していると言えますが、それでも十分に定借したとは言えませんし、介護業界の人材不足の状況も大きく改善されていません。

ただし日本で外国人介護士としての資格を得たのちには、日本に残って外国人介護士として働きたいという人も少なからずいます。
これからこの制度を定着させるためには、日本で働きたいという外国人介護士への待遇やサポート制度をより充実させる必要があるでしょう。

今後、日本を含めた世界各国ではこれまで以上にグローバル化が進むと考えられています。
外国へ進出する日本企業も多く、外国人介護士のニーズは日本国内だけでなく海外にも高まると考えられています。
そうしたニーズにも、日本は対応することが求められています。

介護福祉士はつらい仕事?

介護福祉士はどんな点が大変?

介護職の中では唯一の国家資格である介護福祉士のお仕事は、社会貢献度が高くてやりがいを感じられるお仕事です。
しかし実際に働いてみると、確かに大きなやりがいや充実感はあっても、それ以上に大変な仕事だと感じる人が少なくありません。

介護福祉士の仕事は、何が大変なのでしょうか?
1つ目には、待遇があまり良くないという点が挙げられます。
弁護士や医師のような他の国家資格と比較すると、給料や待遇面では決して良いとは言えません。
介護業界は全般的にお給料が低く、介護福祉士として働く場合でも初年度の年収は約280万円程度です。

2つ目は、介護業界では持っている資格よりも経験が重視される傾向があるという点です。
資格を持っている人よりも、実務経験が長い人がリーダーとして選ばれることが多いのです。

3つ目には、人間関係が難しいという点があります。
介護福祉士が働く施設では、ケアマネ―ジャーや看護師を始め、作業療法士や理学療法士、そして栄養士など様々な人が同じ職場で働いています。
それぞれ異なる立場で異なる価値観や意見を持ち入居者をサポートしているわけですが、必ずしも皆が同じ意見というわけではありません。
専門的な見解が違うことによる衝突もあり、人間関係のトラブルで悩むことが少なくありません。

4つ目には、体力的にキツイ仕事だという点が挙げられます。
介護福祉士のお仕事は、冷暖房がついたオフィスでデスクワークをするお仕事ではなく、入居者の介護に携わるお仕事です。
体力的にハードですし、24時間の中でシフト勤務となるため、その点でもツラいと感じる人は少なくありません。

悩みを解決する方法とは?

介護福祉士の悩みを解決するためには、目の前にある一つ一つのことを丁寧かつ真摯に対応することから始めなければいけません。
職場の人間関係トラブルならコミュニケーション不足が原因ということもあるため、普段からコミュニケーションを活性化することによってお互いに気持ちよく理解し合える職場環境を作ることができます。

また待遇に関しては転職するという方法もありますが、介護業界全体が低待遇なので転職してもあまり劇的な変化は期待できないかもしれません。
それよりも、より高度な資格を取得してキャリアアップを計画したほうが待遇アップという点では大きな効果が期待できます。

例えば介護福祉士として5年以上実務経験を積むと、ケアマネ―ジャーの資格取得が可能となります。
ケアマネ―ジャーとなればオフィスワークへの転職も可能となりますし、資格手当などによって給料アップも期待できるでしょう。
それ以外にも、ケアマネ―ジャーなら在宅介護を希望する人の介護認定に携わるなど、いろいろな働き方ができるため、将来ライフステージが変わった時にも対応しやすいというメリットがあります。

老老介護・認認介護の実態を知る

老老介護・認認介護とは?

社会の高齢化に伴って、老老介護・認認介護の問題が深刻化しています。
老老介護というのは、高齢者の介護を別の高齢者が行うというもので、65歳以上の高齢夫婦だけでなく、親子や兄弟などでも、どちらも高齢の場合に該当します。
認認介護に関しては、認知症を持つ高齢の患者の介護をするのが同じく高齢で認知症を患う家族というケースが該当します。

日本国内においては、全人口の約25%は65歳以上の高齢者です。
つまり、4人に1人は高齢者なのです。
医療の発達によってますます高齢化は進むと考えられており、今後はさらに老老介護・認認介護問題が深刻なものになると考えられています。

厳しい現状

老老介護・認認介護の現状は、かなり深刻です。
2001年には、65歳以上同士の介護は全体の40%、75歳以上同士では全体の18%程度でしたが、現在では65歳以上同士の介護は全体の55%、75歳以上同士でも全体の30%となっています。
そして、今後もこの割合は増えると予想されています。

老老介護・認認介護を行う介護者は、配偶者や子供など、同居している家族が全体の60%近くを占めています。
要介護者とは同居しない介護施設から介護を受けている割合は、全体の13%程度にとどまっています。
これは、高齢者の介護は同居する家族がするのが当然だと考える人が、日本においてはまだまだ多数いるという裏付けと言えます。

老老介護・認認介護の問題点は?

自分が高齢になって介護が必要になった時、介護施設のスタッフではなく、配偶者や子供などの身内に介護してもらえることは介護を受ける側にとっては精神的なメリットがあります。
しかし同時に、たくさんの問題点も浮上しています。
それは、介護する側の生活の基盤が著しく脅かされてしまうという点です。

核家族が一般的になっている昨今では、高齢の両親と離れて暮らす人は少なくありません。
親の介護をするとなると、仕事を辞めて生活の拠点も変わります。
頼れる人がそばにおらず、常に介護が必要な高齢者の介護を自分1人で背負い込むことは介護をする側の精神的ダメージが大きくなってしまいます。
また、仕事を辞めて介護に専念することによって収入が途絶え、生活が立ち行かなくなってしまうという問題点も増えています。

また精神的な面で問題はなくても、お互いが高齢者、そしてお互いが認知症を患っていると、遅かれ早かれ家事が困難いなったりお金の管理が難しくなってしまうリスクもあります。
こうした問題を解消するためには、家族だけで介護問題を解決しようとするのではなく自治体や社会全体がサポートする環境整備が必要不可欠です。
当事者、または当事者が身近にいる人の場合、様々な福祉のサポートをチェックしてみてください。

モンスタークレーマーの対応方法

理不尽なクレームとはどんなクレーム?

介護業界では、特別待遇を要求したり無理難題を押し付けてきたり、屁理屈や言いがかりをつけてくるモンスターカスタマーがたくさんいます。
実際に介護施設を利用している利用者がモンスターということもあれば、利用者の家族がモンスターというケースもあります。

こうしたモンスタークレーマーを放置してしまうと、介護施設全体のマイナスの影響が出てしまいますし、円滑な施設営業も妨害されてしまいます。
それに何よりも、対応しなければいけないスタッフが精神的にダメージを受けてしまいます。

そのため早期の対応が必要なのですが、介護施設の中にはそうしたモンスタークレーマーの要望を無視できないだけでなく、どこまで対応すればよいのかという線引きも定かではないためにその場しのぎの対応しかできないというケースが少なくありません。
具体的には、「食事には父が大好きなまんじゅうを必ずつけろ」と要求したり、介護施設内での事故に対して施設側が丁寧に説明したにもかかわらず昼夜を問わずに電話してクレームし続けるなど、理不尽な言動や態度が挙げられます。

どんな対応方法がある?

介護施設へ寄せられるクレームは、全てがモンスタークレームというわけではありません。
時にはスタッフにとって耳が痛くても、真摯に説明しなければいけないケースはあるでしょう。
しかしモンスタークレーマーの場合には、同じクレームを何度もリピートしてきたり、金銭を要求したり、すぐに責任者を出せと要求するなど理不尽であることが特徴です。

それに対する対応策としては、まず最初に事実確認をする事から始めましょう。
そのクレームがモンスタークレームなのか、それとも正当なクレームなのかを見極めるためには事実確認は必要不可欠なプロセスです。

そしてクレーム内容のうち、施設側に非がある部分とそうでない部分を把握しなければいけません。
利用者側からのクレームは全て介護施設の責任というわけではないので、クレームの中でどこに施設側の責任がるのかを見つけることによってより具体的な対応がしやすくなります。

もしも止まらないモンスタークレームのトラブルに悩んだら、会話を録音し、弁護士に相談するという対応方法も検討しましょう。
普段から施設の顧問弁護士へ相談できる窓口を設置しておくと、モンスタークレームに対しても早期に対応がしやすくなります。

損害賠償請求も可能

もしもモンスタークレームによる風評被害を受けたり、クレーマーが施設の事業にマイナスの影響を与える場合には、そのモンスタークレーマーに対して損害賠償請求をすることも可能です。
この場合、施設の責任者や現場のスタッフだけでの対応ではなく、顧問弁護士に対応を依頼する必要があります。

看護師のストレスの原因ベスト5

人間関係がストレスのトップに挙がる

看護師の仕事は全体で見ると、とてもやりがいがあり喜びを感じられる機会も多い仕事ですが、同時にストレスも抱えることが多くなります。
いろいろなストレスの要因となることがありますが、そのトップ5を見ることで、どのようにそれに対処していったら良いかを知ることができるでしょう。

まず、看護師が抱えるストレスの原因のトップ1は職場での人間関係です。
これには上司との関係や、同僚との軋轢などが含まれます。
命に関係する仕事をしていますので、お互いにレベルの高い要求をしなくてはなりませんし、体力的にも精神的にも追い詰められてしまう時もありますので、どうしても人との関係において余裕がなくなってしまうことが生じるのは事実です。

そのため、ある程度の人間関係の問題が生じえるということを前提に考えて、それに対処できる術を身に着けるようにしましょう。
ストレスを上手に発散できる場を自分の中で持っておくと、いろいろな問題が持ち上がった時にも、心の傷を受けずに済みます。

仕事の責任と量がプレッシャーとなることも多い

次にあげられるのは責任と量です。
看護師の仕事は、患者さんの健康と命を預かるという大変責任の重いものです。
特に、ちょっとした投薬ミスやケアのミスで、患者さんの命を奪ってしまうこともありますので、常に緊張が強いられる場となります。

また、病院で常にたくさんの患者さんをケアしなければなりませんし、急な体調不良や救急搬送などに対応しなくてはならないため、仕事の量はいつもパンパンという状況です。
そのため、自分で体力的にもバランスを取れる環境を選ぶことが重要です。
勤務シフトや看護師の配置状況などを調べて、重荷とならない病院を選ぶようにしましょう。

意外と給料が少なくプライベートの時間が取れないことが多い

さらに続くのが、収入面と時間面でのストレスです。
看護師は資格がないとできない独占業務ですし、仕事の量もハードさも、他の職種を上回るものがあります。
そのため、当然給料はしっかりともらいたいと誰しも思うものですが、実際には勤務の大変さに見合うものかと言われると、そこまでではないというのが現状です。
夜勤などの時間外勤務をこなしてある程度満足できる給料の額になり、普通の勤務ではなかなか思うような額にならないことが多いものです。

また、残業が多かったり、夜勤と日勤のミックス、定休の曜日が決まっていないなどの理由で、プライベートの時間が取れず、ワークバランスが崩れていると感じるのも、看護師にとって大きなストレスとなります。
こうした事態を改善するために、働きやすい環境を整えている病院を選ぶことや、いろいろな勤務体系で働ける場所を選ぶことは肝心です。
特に今では、派遣や時短勤務、日勤のみなど、いろいろな働き方が選べるようになっていますので、自分と家庭のための時間をしっかりと取れるようにしましょう。

終末期医療とエンド・オブ・ライフケアについて

終末期医療の考え方が変わってきている

医療の仕事に携わる人にとって、悲しくも避けて通れないのが患者さんの死という現実です。
どんなに医療が進歩しようとも、患者さんの寿命をある程度伸ばすことができるとしても死を避けることはできません。
特に日本では、高齢者の数が急速に増えていますので、看護師としても死に面することが増えてくることになります。

終末期医療については様々な考えがありますが、最近ではエンド・オブ・ライフケアという考えが次第に浸透してきています。
これは、死に向かう患者さんの心の整理をして、最後の期間の生活の質を高めるということに重点が置かれています。
従来のターミナルケアとは多少異なる概念も含まれていますので、看護師としてもこのエンド・オブ・ライフケアという考えをしっかりと意識する必要があります。

最後の時間を幸せに過ごせるようにサポートする

医療スタッフの一員であれば、どうしても終末期医療に注目せざるを得ません。
今までのターミナルケアでも、患者さんの痛みを取り除き最後の時間を有意義に過ごせるという考えが主軸となっていますが、それよりさらに患者さんの生活の質の向上という面に注目して、様々な観点から幸福な時間を過ごせるようにサポートするという姿勢を取ります。

医学的な技術を駆使して、できるだけ痛みを減らして病気による苦しみを取り除くことと共に、通常の生活を楽しんで過ごせるようにすることや、友人や家族との時間を大事に過ごせるように助けることがエンド・オブ・ライフケアでは重要な要素となってきます。
また、医療的ケアの手法について患者さん本人が選択できるようにして、本人の意思を尊重するというのも大事な考えとなっています。

本人の自己決定権を尊重することが重要

エンド・オブ・ライフケアでは、本人の自己決定権というのがとても重要になってきます。
そうすることで、最後の時間を自分の納得できるような仕方で過ごすことができるようになってきますし、死にしっかりと向き合うという姿勢を持つことができるからです。
特に、意識がなくなり本人が判断能力を失ってしまった時に、心肺蘇生を続けるかどうかなどの微妙な問題においても、しっかりと本人の意思を聞き取り、それを活かせるようにすることも大事なポイントです。

看護師にとっては考えさせられることも多い分野ですが、患者さんとそのご家族の幸せに貢献する大事なことですので、この分野に関する知識と判断力を培っておくのは大事なことです。
高齢化が進むにつれて、病院だけでなく、自宅で在宅医療を受けながら終末期医療をするというケースも増えてきていますので、訪問看護に携わる看護師は特にこの点に精通している必要があります。

潜在看護師って?看護業界への再就職事情

看護師の資格を持っている人はかなりの数に上る

日本国内では介護スタッフと共に看護師の人材不足が深刻な課題となりつつあります。
現在でも厳しい状況にありますが、これから団塊の世代が高齢者、後期高齢者となっていくにつれて、看護ができる人材はますます必要になっていきますので、看護師のニーズは非常に高いと言えるでしょう。
しかし、実際には看護師の資格を持っている人は少なからずいますし、以前看護師として働いていたキャリアを持つという人も多いのです。

ところが、看護師の資格を持って業務を行っていたとしても、様々な事情で職を離れてしまって、現在では看護師として働いていないという人が多く、それを潜在看護師と呼んでいます。
看護師不足が深刻化しているため、こうした潜在看護師が再び看護業界に戻ってきて、その資格とキャリアを生かしてくれるようにするというのが、日本の看護業界にはとても重要な課題となっているのです。

看護師をやめる理由とカムバックを阻む理由

どうして資格もキャリアも持っているのに潜在看護師となってしまう人が多いのかというのには理由があります。
まず、看護師は男女比で見ると女性の方が圧倒的に多いため、出産や育児のために看護師として働いていたとしても、職を離れてしまうことが多いのです。
特に、中堅どころとして経験を積み、高度な知識を学んできた年代でこのような状況になって看護師の仕事を離れるケースが多いので、現場にとっては大きな痛手となります。

そして、一度職を離れてしまうと、看護師としてカムバックするのが難しいと思わせるような状況もあります。
家庭を持ちながら、肉体的も精神的にもハードで、時間拘束が長い看護師の仕事をするのは実際問題とても大変で、仕事と家庭の両立が務まらないのではないかと心配する人が多いのです。
また、医療の現場は日に日に新しい技術や知識が出ているところですので、一度数年だけでも最前線から離れてしまうと、人の命に関わる責任の重い仕事をやり遂げられるかどうか不安に思うという事情もあります。

カムバックを支援する様々な取り組みをしている

こうした状況を見て、自治体や医療機関では、潜在看護師がカムバックしやすいような環境作りを推進しています。
たとえば、自治体によっては復職する人に助成金を出したり、医療機関に隣接した託児所や保育園などに子供を預けやすいようにしています。

さらに、家庭を持っていても働きやすいように、日勤だけの勤務体制にしたり、時短勤務、パートタイム雇用など、それぞれの事情に応じて働きやすいワークスタイルを選択できるようにもしています。
復帰してすぐに現場に就けるように、潜在看護師のための研修制度を設けているところもあります。

急性期医療とワークライフバランスについて

新人の看護師は急性期医療の現場に置かれることが多いのが現状

新人の看護師の割り当てられる現場は多くの場合、急性期医療の現場となっています。
この現場は様々な経験が積める場所ですし、業務内容もハードなことが多く体力が求められるため、若い新しい看護師が必要とされるというケースが多いからです。

急性期医療の現場は、入院して間もない患者さんで占められていますので、状態が不安定で急変などが起こりやすいところです。
また、症状が重い患者さんも多く集まっていますので、突発的な対応が必要になるケースも他の現場よりも格段に多い環境となっています。
そのため、残業や夜勤の必要性が非常に高く、看護師の身体的な負担が大きな職場となっています。

また、患者さんの死や難しい状況に直面することも多いので、看護師には精神的な負担も大きいところと言えるでしょう。
そのため、経験の浅い看護師にとっては様々な面でプレッシャーが大きい現場となっていて、看護師を離職してしまう原因となっているのも事実です。

ワークバランスを考えて働きやすい職場を作ることが課題になっている

このように、経験の浅い看護師が急性期医療の現場で頑張っていくのは楽ではありません。
しかし、病院全体の効率を考えれば重要なことですし、短期間でたくさんの患者さんと症例に立ち会える現場は、新しい看護師の経験を積み上げる機会ともなります。
そのため、単につらいというイメージが先行する現場ではなく、ワークバランスを考えて快適に働き続けられる環境とすることが重要なポイントです。

そこで多くの病院では、個々の負担を減らすために、いろいろな勤務形態の看護師をミックスさせて雇用しています。
夜勤専従の看護師チームを作ったり、派遣やパートタイムの看護師を用いて、一人一人が決まった時間で無理なく働けるようにしています。
自分の持ち場をはっきりとさせることで、精神的な負担を減らすこともできています。

プラス面を評価して働きやすい職場を作る

確かに急性期医療の現場は楽な職場とは言えませんが、経験の浅い看護師に実践を積ませるのにとても良い機会ですし、多くの患者さんに接して治っていく様子を近くで見られることで、看護師としてのやりがいとモチベーションを持てるというプラスの面もあります。
そのため、より働きやすい職場環境を作り、スキルの高い看護師を育成していくことが、医療機関にとって重要な課題となっています。

肉体的にも精神的にも大きな負担を抱え込まずに済むように、長期リフレッシュ休暇の制度を設けたり、病院内にカウンセラーを置いたりして、看護師みんながさわやかな気持ちで働き続けられるようにしています。

看護師の特定行為について

看護師が自分の判断で行える行為が指定されている

医療行為については、医師の免許を持っている人と看護師の資格を持っている人との間に明確な線引きがあり、どこまでが看護師のできる行為かということが法律で定められています。
中でも、診療の補助とされる行為の中には、看護師ができるものの、医師の指導の下で行わなければならないとされている行為がたくさんあります。
しかし、実際の医療現場では、緊急の場合やたくさんの患者さんに対応しなければならないシーンというのがよく見られますので、いちいち医師の指導を求めていたのでは、現状に対応できないという状況が生じています。

そこで、38の行為を特定行為と定めて、看護師であっても医師の指導なしで行うことができるように法律の改正がなされています。
とはいえ、誰でも看護師であればそうした特定行為ができるというわけではなく、しっかりと特定行為を問題なく行えるようにするための研修を受けることが条件となっています。

指定研修期間で定められた研修を受ける必要がある

看護師の特定行為を行えるようになるためには、厚生労働省が定めた養成機関で指定の講座を受ける必要があります。
それぞれの自治体に養成機関が置かれていますので、それほど大きな負担を覚えることなく研修を受けられるでしょう。

どの行為に関する研修を受けるかに関わりなく、共通講座を315時間受ける必要があり、これがベースとなります。
そして、そこからそれぞれの行為に関する特定の講習を受けていって、行える特定行為を増やしていくという形になります。
実践的な研修で、実際の現場でどのように措置をするかなどを学べますので、単に特定行為をするための資格を取るというよりは、確かなスキルを持った看護師となることができるのがメリットです。

こうした養成を受けるには、ある程度長い時間がかかりますので、病院側の支援が必要になるケースがほとんどです。
多くの大きな総合病院では、看護師のレベルを押し上げるために、病院側が費用などの負担をして研修を受けられるようにしていますので、もしスキルアップを望むのであれば、こうした制度を持っている病院を勤務先として探すのがベストです。

看護師の責任が大きくなる

こうした38の特定行為は、以前医師がいないとできないものでしたが、研修を受けた看護師であれば一人でもできるようになっていますので、それだけ看護師が担う責任が重くなっていることを意味しています。
医師と看護師の境があいまいだった医療行為が多かったという状況から、はっきりと医師と看護師の役割分担が定まってきていて、より看護師の存在感が増しています。
スキルの高い看護師のニーズがより増すことになりますので、自分磨きを怠ることがないようにしましょう。

在宅医療と訪問看護について

在宅看護のニーズが急速に高まっている

看護師の業界は、社会を構成する人たちの年齢層によっても大きく変動があります。
特に今は超高齢化社会に入っている時代ですので、より高齢者に対応した看護ケアをする必要があります。
高齢者が多くなることは、すなわち在宅での看護のニーズが高まることを意味します。

というのも、高齢者の看護においては急性期医療よりも慢性期医療の方が必要性が高くなるからです。
また、若い世代に比べると医療機関によるケアが必要になる頻度も高くなりますので、高齢者が増えるとどうしても既存の医療施設だけでは対応できなくなります。
そのため、病院施設における看護よりも、在宅医療で対応する割合が高くなるのです。

新人看護師でも訪問看護に携わるケースが増えてきている

訪問看護は、看護師一人一人の責任と担う役割が多いため、以前は病院での経験を積んだある程度キャリアのある人がなるという構図が見られました。
しかし、現在では、訪問看護の現場でかなりの人手不足が見られるため、そうした方法にとらわれない求人がなされるようになっています。
新人の看護師であっても在宅医療に最初から携わり、徹底した教育によって訪問看護を任せらえるようにするという取り組みです。

もちろん、最初から一人で訪問看護に携われるわけではないので、ベテラン看護師に付き添って徐々に経験を積んでいって、同じ事業所内でスキルを高めていくという方法が採られています。
そうすることによって、実際的な訪問看護の手法を体で覚えることができますし、学んだ技術と知識をすぐに生かせるというメリットがあります。
訪問看護では、患者さんの体調管理や服薬管理など、通常の看護だけでなく、リハビリや生活介助、栄養や健康に関する指導、緊急時の対応など、かなり幅広い範囲での業務が求められますので、効率の良い教育をするというのは、これからの看護業界においてとても重要な課題となっています。

自分が中心的な存在となるという自覚を持つ

病院勤務の看護師の場合は、上司や同僚となる看護師が常に周りにいますし、実際の医療行為についてはすぐそばに医師がいるために、助言を求めやすいという状況にあります。
しかし、在宅医療においては、看護師が一人で患者さんのケアをすることが圧倒的に多いので、看護師にかかってくる責任は大きくなります。

すぐそばに助言を求められる人がいませんので、早急に判断を下すべき時には、自分ひとりで適切な処置を施さなければならないこともありますし、病院のように様々な設備や器具があるわけではないので、マンパワーが物を言うようになります。
さらに、在宅看護では、医師やソーシャルワーカー、介護士など様々なスタッフを調整するまとめ役として働くことも多いので、自分が中心的な存在となるということを意識することが肝心です。